近世初め、三津浜は小さな漁村に過ぎなかったのですが、慶長八年(一六〇三)、松前城主であった加藤嘉明が松山に移るのに伴って三津浜の港を改修し、城下町松山の外港としました。
御船場(御用船の基地)を造り、船奉行を置き、松前の水軍根拠地を移すのと同時に、松前の商人たちも移住させて港町での商いを奨励したことから、このまちが発展し始めます。その後、明治、大正、昭和と歴史を数え、色々な建物が、様々な形で残っていたりします。
私たちが記憶している限りでも、塗籠(ぬりごめ)といわれる漆喰(しっくい)の格子窓や海鼠壁(なまこかべ)の土蔵がある商家、民家、ハイカラな洋風、擬洋風(ぎようふう)の商店、病院、倉庫など、江戸期から昭和期までの、それぞれの時代の多様な建築物が古い町並みを形成していました。

現在は都市化によってそうした建物も姿を消しつつありますが、その一方で保存しようと活動をする人や団体により、新たな形で活用され始めてもいます。